ジョン・ウィック

Essay

アクション映画はすすんで観る方じゃないけれど、たまたまAmazonプライムビデオで配信されていたのでみてみることにした。スーパーでいつもは選ばないエリンギが安かったので買ってみたようなものだ。

内容をざっと説明すると元殺し屋のジョン・ウィックが愛犬を惨殺されたので復讐することにした、といったストーリーである。

1回では回収されない伏線がちりばめられていて、続編に持っていこうというスタッフの意気込みが感じられた。

世界観はブレードランナー、攻殻機動隊、パトレイバーの劇場版を煮詰めたようなもので、全体的にブルーで印象付けている。

特に胸を打たれるような部分はなく、共感することもそこまではなかった。主人公もそれを取り巻く世界もどこか遠い世界の出来事で、派手にジョンが吹き飛んでも「頑張ってるなぁ」と思えてくる。娯楽アクション映画に重厚なストーリーを求めているわけではないのだが、幾分物足りなさを感じてしまった。

近年の映画やドラマに対する視聴者の需要に応えたからかもしれない。

これに似た気持ちは、オープンワールドのゲーム配信を眺めているのに近い。ゲームをする側は体験を得るが、見ている側はその体験が削ぎ落とされているので、そこで得られるものはもっと別の何かだったりする。

それは、当たり障りのないBGMだったり、たまたま目にしたネットの広告と同じように、生活の邪魔をまったくしないものだ。多くの人はそういった空虚なものを求めているのかもしれない。

空虚さは入れ物としてはとても優秀で、その後のメディアミックスに展開しやすい。それこそゲームだったり、小説だったり、漫画だったり、連続ドラマだったり。

おそらくその部分も加味して作られているものだと思う。結果的に時代とシンクロした部分も大いにあるかもしれないけれど、誰でも遊べる器を用意した映画なのではないだろうか。

台所でパスタを茹でながらなんとなくそう思った。

それにしてもキアヌ・リーブスはかっこ良い。

Bitly

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